ボレー 基本のフットワーク




ボレーのフットワークは、実戦的ではないものを "基本のフットワーク” として習ってしまう事が多く、それが原因で速く動く事ができない方も多いです。しっかりとしたフットワークを身に着ければ、かなり反応速度が上げる事ができるはずです。

ボレーでは、基本的に、前の打点で取るほど高い打点でボールをとる事ができますし、元々相手からの距離が近い分、1歩分前に詰めて打てるかどうかが、ストロークの時よりも重要になります。




 

ボレーのフットワークは1歩を基本にする

ボレーは、「2歩で取る」のが基本と言われる事が多いですが、この2歩を基本としたフットワークは、実戦ではほぼ使えず、プロが使うことはまずありません。

このフットワークは、「まず、ボールに近い方の足を横に出してボールの後ろに入り、次にボールに遠い方を前に出しながら体も前に行く」というような動きになります。この横に出す一歩は「軸足のセット」などと呼ばれる事が多いようです。フォアボレーの時は、まず右足を横に出し、次に左足を前に出し、バックボレーでは、その逆で左足を横に出し、右足を前に出します。この動きだと時間がかかる割にカバーできる範囲が非常に少なくなります。

軸足のセットを無くし、1歩だけにしたフットワークを基本とするともっと素早く動けるようになります。同じ距離なら基本的に歩数はできるだけ少なくした方が速く動けます。1歩で届かないよいような距離であれば、2歩で行くようにすれば良く、1歩で行ける所も2歩で行くのは合理的ではありません。

「マイク・ブライアン選手の、2歩ではなく、1歩で打つフォアボレー(2回目のボレー方です。)」(5:39:21~5:39:43)
オーストラリアンオープン公式チャンネルより 2015年 ブライアン兄弟 対 ドディグ&メロ戦
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ボレーの基本ステップのやり方

では1歩で打つ基本のステップを解説していきます。この1歩で打つボレーができれば、2歩以上の場合にも簡単に応用できます。

まずは、レディポジションを取り、スプリットステップを行います。スプリットステップの後、一番最初に行うのは体のターンになります。

○フォアボレーの場合
足に体重が乗り切る前に体を右にターンさせ、上半身が右に傾き、左足にあまり体重が乗っていない状態でボールを持ちます。左足を出しながらボールを打ちます。

○バックボレーの場合
足に体重が乗り切る前に体を左にターンさせ、上半身が左に傾き、右足にあまり体重が乗っていない状態でボールを持ちます。右足を出しながらボールを打ちます。


出した足が地面に着く前にボールを打つのを基本としてください。よく「ショットと同時に足を踏み込む(足を地面に着ける)」ように言われるのですが、その必要はありません。

踏み込みとスイングは、本来全く別々の動きであるのに、わざわざ同時に行おうとする事は無駄な制限を1つ増やすだけと言えます。それにより前に詰める速度が遅くなったり、ショットの安定性が下がるなどの悪影響が出てしまいます。

「強く踏み込めば強いショットが打てる」ともよく言われますが、踏み込みからの腕の振りまでの効率の良い運動連鎖が起こるとは考えにくく、ショットの威力を上げる効果は、全く無いか、あってもとても小さいものだと推測されます。

「常に」ショットと同時に前の足を地面に着けようとするのが問題ですので、ボールが遠い場合には、前にある足が地面に着くのと同時や、地面に着いた後にボレーしても問題ありません。

打った後の着地はカカトから入るようにすると足をより大きく開く事ができ、より前に詰める事ができるようになります。また、安定性の面から見てもカカトから着地する事は重要になります。つま先から入ろうとすると体が前のめりになりやすく、ショットの安定性を下げる要因となります。

ただし、高くジャンプしながら打ったボレーした場合、無理にカカトから着地しようとすると足への負担が大きくなるため、この場合はつま先から着地して大丈夫です。






ボールが前に遠い場合のフットワーク

ボールが(前方向に)遠く、1歩では届かないか、届いても不安定な体勢になってしまう場合は、2歩以上で行きます。この際も、1歩目で「軸足をセット」しようとはしないでください。

バックボレーでは、2歩以上になる場合も基本的には、右足が前にある状態で打つようにします。前にある足が逆になると、バランスを崩しやすくなります。フォアボレーでは、1歩の場合は、ボールを取れる範囲が広くなるため、左足が前が基本になりますが、2歩以上の場合、どちらの足が前になっても大丈夫です。

前に動いて打つ場合は、体を止めてから打つのではなく、打った後に、止まるようにしてください。ボールを打つ前に体を止めようとすると、上半身がブレ、安定したショットを打てなくなります。

中級レベルくらいまでだと、常に後ろ足を地面に着けたままの状態でボレーを打とうとする方が多いですが、後ろ足は地面から離れて打ってしまって大丈夫です。後ろ足で地面を蹴って、後ろ足が空中に浮いた状態でもボレーできるようになると、ボールに届く範囲が格段に広がります。

 


ボールが近い場合のフットワーク

1歩も動かないでもボールに手が届くという場合 、両足共に体重がどっしりと乗っている状態でボールを待たないようにする事が重要です。両足に体重が乗っている方がなんとなく安定しそうな気がしてしまいますが、実際には、これだと取れる体勢が限られてしまい、バランスを保って、きちんとしたスイングで打てる範囲が非常に狭くなります。

スプリットステップをして、体をターンさせた後、片方の足がほぼ浮いているような、体重の乗っていない状態を作っておけば、最後までかなり自由に体を動かすことが可能になります。




今回の重要ポイント

○ボレーは2歩ではなく1歩を基本とする。1歩を基本としたフットワークの方が速く動ける。

○スプリットステップの後、一番最初に行うのは体のターン。

○前に出した足が地面に着く前に打つのを基本とする。カカトから地面に着くようにする。

○バックボレーでは2歩以上の時でも右足が前にある状態で打つのが基本。

○前に動いて打つ場合は、打った後に、止まるようにする。

○後ろ足で地面を蹴って、後ろ足が空中に浮いた状態でも打てるようにする。

○両足共に体重がどっしりと乗っている状態でボールを待たない。