フォアハンドストローク 体の回転のエネルギーの伝え方




「ストロークで体の回転を生かしてショットを速くする方法」 解説動画



今回の動画では、体の回転を生かしてストロークの速度を上げていく方法について解説していきます。体の回転のエネルギーを活用できれば、腕だけの時よりも格段に速いショットを打つことができるようになります。

フォアハンドストロークの場合を中心に説明していきますが、バックハンドでもやることはほとんど同じです。


体の回転をスイング速度に生かす方法

フォアハンドストロークのテイクバックは、手で円を描くような動きの、ループ型が主流ですが、ループ型のテイクバックを含めるとやや話がわかりにくくなりますので、まずはテイクバックなしのスイングで解説していきます。

上級者だと、余裕のある時には、上半身をかなり後ろの方まで向けた状態から体を180度近くまで回転させて打つ事が多いのですがいきなりそこまで後ろを向いて打つのは難しいので、まずはネットに対して真横を向いた状態から打てるようになること目標にしてください。


最初から体が前を向いていると、当然ながら体の回転を使えなくなってしまいます。

また、一度横向きになっても、本気で体を回転させ始める前に少しずつ体が前に回ってしまうと、最初から前の方を向いていたのと同じになってしまいます。
ギリギリまで体の横向きをキープしておいて、一気に体を回転させる必要があります。


なお、「腰から回転させるように」とアドバイスされる事が多いですが、これは明らかな間違いで、腰を先に回してはいけません。

止まって打てる時なら、腰を先に回転させてもあまり問題にはなりませんが、動きながら打つ時だと、体がブレてショットが不安定になります。腰は上半身を回転させることにより、後からついて回るだけになります。(ただし、足の力を使ったフォアハンドの場合は腰の方が先に動き出します。)


「体の回転を正面で止めるように」、「体が回りすぎないように」とよく言われていますが、体が回りすぎて悪影響が出る事はまずありませんので、そのような意識を持つ必要はありません。
昔は、プロ選手でも正面のあたりを向いて終わる打ち方をしていましたが、現在では、正面よりもかなり左を向いて終わるのが通常の打ち方となっています。


最初の内は正面を向くくらいで終わってしまっても大丈夫ですが、スイング速度を上げるためには、正面で終えようとするのではなく、むしろ左の方を向いて終わるようにしていく必要があります。


「どんな時でも体の回転軸を地面と垂直にするように」とアドバイスされることもありますが、これも明らかに間違いです。

体が地面と垂直のまま打つ事が多いのは、上級者よりもむしろ初心者の方です。プロレベルでなるべく体の回転軸を地面と垂直に保とうとしている選手はおりません。

体を地面と垂直に保とうとすると、遠くの球や低い球を打つのが難しくなります。また、垂直に保てば、ショットが安定すると考えられているようですが、実際にはその効果もありませんので、メリットは特に無いと言えます。


体の回転のエネルギーを効率的に伝えるためのポイント

エネルギーを効率的に伝えるためのポイントは、体が回転し始めた後、一瞬遅れて腕を動かすようにすることです。体の回転に引っ張られてから腕を動かし始めてください。


体の回転よりも腕が先行してしまうと体の回転のエネルギーが生かせません。

また、腕が遅れずに、体と一緒に回り始めてしまっても上手くエネルギーを伝えることができなくなります。


腕を動かし始めるタイミングの良しあしが、エネルギー伝達の効率を決める最も重要な要素と言えます。

では、どうすれば、良いタイミングを取れるようになるかというと、これには反復練習を行うしかありません。より速いショットを打つように意識しながらストローク練習を繰り返すことが重要になります。

最初は、タイミングが理想的なものとズレてしまいますが練習を繰り返す内に徐々に良くなっていくはずです。


ループ型テイクバックをした場合。
体の回転より先に腕が動き出している分、テイクバックがあるとやや動きが分かりにくくなりますが、やる事自体はテイクバックが無い時とあまり変わりません。テイクバックが終わり、スイングを本気で始める時点の少し前に体を回転させ始めます。


横を向いた状態から打てるようになった後は

基本的には、体の回転する角度が大きいほどショットの速度が上がりますので、横を向いた状態から始める打ち方でうまく打てるようになってきたら、真横よりも30度程度上半身を後ろに向けた状態からでもスイングを始められるように練習してみてください。


打ち終わった後は、正面ではなく、かなり左の方を向いて終わるようにしていく必要があります。
最終的には体を180度近く回転させるのを目標にしてみてください。


180度近くまで回転させてうまく打てるようになるには、かなり長い時間がかかりますので、あせらず着実に練習を重ねて頂ければと思います。


なお、打ち終わった後、手が左肩の上に乗るような打ち方だと、スイングが縦ぶりになってしまい、体を大きく回転させてもスイング速度を効率的に上げられません。大きな体の回転を生かすためには、手が肩の下で終わる必要があります。



また、フォアハンドの場合は、足の力を使うことにより体の回転を更に速くすることが可能です。これについて詳しくは他の動画で説明しております。概要欄にリンクが貼ってありますので、ぜひこちらも合わせてご覧ください。


体を大きく回転させるメリットとデメリット

最後に、上半身を後ろまで向けた打ち方のメリット、デメリットとどのような場合に使うべきかを解説して動画を終わります。



メリット
〇ショットの速度を上げられる。
〇回転量を増やせる。

デメリット
〇コントロールはやや悪くなる。
〇タイミングを取るのが難しくなる。
〇打つコースの最終決定を早めにする必要がある。


総合的に判断すると

立ち位置が後ろの方の時には、上半身が後ろの方を向くようにして、大きく体を回転させスイング速度を速くし、トップスピンを多くかけるのが基本になります。
コントロールがやや悪くなる分、ネットからある程度余裕がある高さを通すようにします。


逆に、ネットの近くでチャンスボールを打つ場合には、デメリットがメリットを上回るため、あまり後ろの方まで体を向けないようにすべきです。
スイング速度は下がってしまいますが、相手の動きをギリギリまで確認することができますし、コースを狙い、フラット気味に打てば、それでも十分に攻撃的なショットになります。


また、後ろめの立ち位置にいる場合でも、相手からの速いファーストサーブやスマッシュなどを打ち返す時には、タイミングを取るのが難しいため、あまり後ろまで向かずコンパクトに打ち返すのが基本になります。