レディポジションと言われるテニスの構えは、フットワークの基礎となるものであり、相手のショットに素早く反応するために非常に大切なものです。
トッププロのようにしっかりと構えると疲れそうなので、初めからやろうとしていない方も多いかもしれませんが、実は、ちゃんとした構えができていれば、それほど疲れません。
テニスの試合時間はかなり長く、2時間を超えるような事も珍しくありません。持久力も問われるのがテニスですので、いくらプロとはいえ、素人がやるとすぐに筋肉痛になるほどの疲れる体勢を基本の構えとしているハズはありません。
ちゃんと練習すれば素人であっても、しっかりとした構えをする事は可能ですので、ぜひ挑戦してみてください。(ただしヒザに痛みがある方等は、無理のない範囲で行うようにしてください。)
レディポジション(基本の構え)のやり方
1.足幅は肩幅よりも広く取る
足幅を広げることは、素早く動く事や、体勢を安定させるために非常に重要です。意識の上では、「動きにくくならない範囲で、できるだけ広めに取る」つもりくらいで、丁度いい間隔になりやすいかと思います。
2.上半身を前傾させる
上半身を地面と垂直に保っているとヒザを曲げるにすごく筋力が必要になります。これは、重心がヒザよりもかなり後ろ側に来て、体を支えるのに余計な力が必要になるためです。ヒザを曲げるとすぐに疲れてしまう方は、前傾姿勢ができていない可能性が高いです。その他にも動き出しを速くしたり、低いボールに対応しやすくなるというメリットがあるので、前傾姿勢を取る事は非常に大切です。よく「上半身を常に地面と垂直に保つように」と言われる事がありますが、プロでそんな事をしている選手はおらず、これは明らかな間違いと言えます。
内股にすると、ヒザが途中で止まるので、ヒザの曲げすぎを防ぐことができます。
4.ヒザは内股で止まる所まで曲げる
昔は、ヒザを曲げれば曲げるほど、速く動けると言われていましたが、それは明らかに間違いです。曲げすぎると逆に動きが遅くなってしまいます。内股で止まる所まで曲げるようにしてください
5.つま先よりに体重を乗せる
つま先よりに体重を乗せ、カカトには、あまり体重が乗らないようにします。特に母指球(足の裏の親指の付け根にあるふくらみ部分)に多くの体重が乗るようにします。ただ「地面に絶対にカカトを着けない」ようにと言われる事があるが、これでは言い過ぎで、このように意識すると、逆にフットワークが遅くなってしまいますので、そのような意識は持たないようにしてください。
6.左手を添える
左手は、グリップチェンジに必要なので、片手でバックハンドのトップスピンのストロークを打つ方であってもしっかり左手を添えておく必要があります。
手を添える位置は、ネットプレイの時や片手バックハンドの選手であれば、スロート部分に添えておくのが基本です。両手バックハンドの方の場合は、ベースラインにいる時は、スロートではなく、グリップ部分に添えても大丈夫です。
7.猫背にならないようにする
8.ややバック側よりにラケットを傾ける
9.ラケットの先端の位置はアゴの高さくらいにくらいが目安
10.必要以上に力まない
テニスの場合、ボールの動きを追うのに集中力を使う必要があるので、最初の内は中々構えまで気が回らないかと思います。また、ヒザの曲げ、体の傾き、足幅の広さは少し変えただけでも視界が大きく変わるので、実際にはこれらが十分にできていない場合でも、しっかりと構えられていると錯覚しがちです。
自分ではどうのように構えているか分かりにくいので、ビデオ撮影をして自分の構えを確かめるのがおススメです。
レディポジションが基本の構えですが、このままじっと待っていれば良い訳ではありません。素早いフットワークのためには、この構えを基本として、色々な動きを行っていく必要があります。具体的な動き方については、今後の記事でご紹介予定です。
サーブリーターン時の待ちの姿勢は別物
なお、サーブリターンの際に、相手がサーブを打つ前に待っている姿勢も「レディポジション」と言われる事が多いのですが、これについては、今回紹介した「レディポジション」とは、別物だと考えた方が良いです。(当サイトではサーブを待つ姿勢はレディポジションとは呼びません。)
レシーバーは、相手がトスの動きを始めるまでは、基本的に待っているだけの状態ですので、その際の姿勢自体にはあまり重要性はありません。そのため、ここで紹介した「素早く動き出せる姿勢」とは、大きく異なる姿勢を取るプロ選手も多いです。
そのような姿勢をラリーの間に取ってしまうと、当然動きが遅くなってしまいますので、ご注意ください。
今回の重要ポイント
〇レディポジション(構え)はフットワークの基礎であり、速く動くために重要なもの。ちゃんとした姿勢ができていれば、そこまで疲れない。
〇レディポジションのやり方のポイントは、「足幅は肩幅よりも広く取る」、「上半身を前傾させる」、「やや内股気味にする」、「ヒザは内股で止まる所まで曲げる」、「つま先よりに体重を乗せる」、「左手を添える」、「猫背にならないようにする」、「ラケットの先端の位置はアゴの高さくらいにくらいが目安」、「必要以上に力まない」。
〇自分ではどのように構えているか分かりにくいので、ビデオをとって確認するのがおススメ。
〇サーブを待つ姿勢は、今回紹介した「レディポジション」とは、別物。