今回の記事では、動きながらスマッシュを打つやり方、フットワークについて解説していきます。
止まって打つスマッシュは、打てても動いてスマッシュを打つとミスが増えてしまうという方も多いと思います。そんな方は今回紹介するポイントをぜひ参考にしてみてください。
下がりながら打つスマッシュ
ロブを上げられたら、まず体を横向きにします。横向きを作らずに正面を向いたまま移動すると、動きが遅い上に転ぶ可能性が高くなってしまいます。
体を横向きにした時に上半身をやや後ろ(右肩の方向)に傾けるのが速く移動するためのコツになります。
サイドステップ、クロスステップを使って後ろに下がります。意識が上の方に向いているため、ヒザが伸びてしまいがちですが、移動を速くするためには、ヒザは曲げておかなくてはいけないのでご注意ください。
クロスステップの方が速く下がることができますので、サイドステップだけでなく、しっかりとクロスステップも使えるようにする必要があります。歩幅をできる限り大きくする意識を持つとより速く移動することができます。
サイドステップは、位置を細かく調整するのに使います。
「体を横向きにすると同時にテイクバックを完了させ、それから動き出すように」と言われることがありますが、これをやると動くのが遅くなってしまいます。テイクバックするのは、ボールを打つ少し前からで大丈夫です。
最後に右足でジャンプします。その場で打つスマッシュは小さめにジャンプするのが基本ですが、下がりながらの時は、大きくジャンプするのが基本になります。
ジャンプした後は、右足を上げてバランスを取るようにします。上半身は後ろに傾けたまま打つようにしてください。上半身を起き上がらせようとすると、ショットの安定性が下がります。
「スタン・ワウリンカ選手の下がりながらのスマッシュ」 (3:21:41~)
全豪オープン公式チャンネル 2015年 スタン・ワウリンカ対マルセル・イルハン戦より
いきなりボールも使って練習すると、どうしてもボールの動きを追うのに集中して、フットワークにまで気が回らないので、まずは、ボール無しでフットワークだけを練習することをおススメします。
前に詰めながら打つスマッシュ
あまり知られていないと思いますが、前に詰めながら打つ時に非常に有効なのが、これから説明する「歩くステップ(当サイトの造語になります)」です。
その名の通り、歩くような動きになりますが、ボールが上がった時に横向きを作り、上半身を横に向けたまま動くのがポイントになります。
右足で地面を蹴ることで体が回転しだすのをキッカケにスイングします。左足を前に出している時にインパクトすることになります。
このステップだとボールを最後まで動きながら打つ事ができる上に、少し低めの打点でも打ちやすいのがメリットです。ネットに近い場所で素早く前に詰めてスマッシュを打つ時に有効です。
「ニック・キリオスの歩くステップで打つスマッシュ」(10:10:07~)
全豪オープン公式チャンネル 2015年 男子シングルス 準々決勝 ニック・キリオス対アンディ・マレー戦より
もちろん、ストロークなどと同じようにサイドステップ、ランニングステップを使って前に詰めることもあります。
動く距離が少ない時は、まず横向きを作り、サイドステップで移動して、余裕があれば小さくジャンプして打ちます。
動く距離が長い場合は、最初は正面を向いたままランニングステップを使い、途中で横を向いてサイドステップに切り替えてから打ちます。こちらも余裕があれば小さくジャンプして打ちます。
これらは、ストロークを打つ時と同じような感覚なので、特に問題なくできるかと思います。
なお、前に詰めるスピードが速い時は、スマッシュで打つとミスが多くなってしまうので、より安定して打てる「フラットハイボレー(当サイトの造語です)」を打つようにしてください。また、相手のショットが速い時もフラットハイボレーを使った方がミスが少なくて済みます。
全てのショットに共通することですが、スマッシュでも動きながら打つ際は、無理に一度止まってから打とうとはしないでください。足で急ブレーキをかけようとすると上半身がブレてしまい、ミスの原因になります。(詳しくは「足を止めて打つ意識がミスを増やす」の記事をご覧ください。)
今回の重要ポイント
○下がりながら打つスマッシュでは、「最初に体を横向きにする」、「上半身をやや後ろに傾ける」、「速く動きたい時は、歩幅を大きくする」、「右足でジャンプして打つ」、「上半身は後ろに傾けたまま打つ」ことが重要。
○まずは、ボールなしでフットワークだけ練習するのが効果的。
○前に詰めながら打つ「歩くステップ」では、「上半身を横に向けたまま歩くように動く」、「右足で地面を蹴るのをキッカケにスイングする」ことが重要。