バックハンドハイボレー2 威力を出すコツ


 



1つ前の記事で書いたように、バックハイボレーには、「手首で打つ方法」、「腕の回転で打つ方法」の2種類がありますが、ほとんどの場合、後者を使った方が有利です。

ただし、「腕の回転で打つ方法」に威力を出すためには、腕の回転を速くするために、これから説明する「ラケットを起こす動作」を加える必要があります。これを使わないと威力のあるショットを打つことは、ほぼ不可能と言えます。




バックハンドハイボレーの「ラケットを起こす動作」のやり方

まずは、ヒジを曲げた状態で右手を肩位の高さにセットします。


右ヒジを曲げた状態でラケットヘッドが下を向いていくように、ヒジから先を回転させます。(手を回内させます。)

この状態でヒジを伸ばすと自然と腕が回転し、「ラケットを起こす動作」が生まれます。(当サイトで言う「見かけ上の回外動作」が起きています。)

ラケットが起きないで、下を向いたままになってしまう方は、腕に余計な力が入ってしまっていますので、腕をリラックスさせた状態でヒジを伸ばすようにしてみてください。

どうしても、ヒジを伸ばすだけでラケットが起き上がる感覚が分からない方は、最初の内は、意識的に手を回転させてしまってください。慣れてくれば、意識的に手を回転させなくても、ヒジを伸ばすだけで自然と手を回転できるようになるはずです。






ラケットを起こす動作を利用する方法

次に、「ラケットを起こす動作」を「腕の回転で打つ」バックハンドハイボレーの動きにつなげていきます。

ヒジを伸ばし、ラケットが起き上がったところで、肩を中心とした腕の回転に移行していくだけですので、これは、そこまで難しくないと思います。

これで威力の出るバックハンドハイボレーの動きが出来上がります。

前の記事でも書きましたが、インパクトは「ラケットを起こす動作」中ではなく、動作が終わった後になります。「ラケットを起こす動作」はあくまで、スイングスピードを速くするための「助走」に使うだけです。

「ラケットが起きる動作」中は、前回の記事で書いた「手首の回転で打つ」ハイボレーと同様に、ラケット面の向きの変化が激しく、ここでインパクトすると、ショットが安定しなくなります。

 

ラケットが起きる動作でスイングを加速させ、ラケット面の変化の少ない腕の回転で打つハイボレーの動きの時にインパクトすることで、威力と安定性を兼ね備えたハイボレーを打つ事ができるようになります。原理が分かれば、そこまで難しい動きではありませんので、ぜひ挑戦してみてください。


 「スタン・ワウンカ選手の「ラケットを起こす動作」を使ったバックハイボレー」(5:12:30~)
全豪オープン公式チャンネル 2015年 男子シングルス準々決勝 スタン・ワウリンカ対錦織圭戦より
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なお、今回紹介した打ち方は、あくまでスピードを出したい時のための打ち方であり、ハイボレーの時に毎回行う必要がある訳ではありません。

遅めのスピードで、浅く角度をつけたハイボレーの方が有効である場合も多く、そういう時は、「ラケットを起こす動作」無しの腕の回転で打つハイボレーを使います。

 


今回の重要ポイント

○「腕の回転で打つ方法」で威力を出すためには「ラケットを起こす動作」を加える必要がある。

○ヒジを曲げラケットを下げた状態で、ヒジを伸ばす事で自然と前腕が回転し、「ラケットを起こす動作」が生まれる。

○「ラケットを起こす動作」中ではなく、動作が終わった後にインパクトする。

○この原理を使う事よって威力と安定性を兼ね備えたバックハンドハイボレーを打つことができる。