浅い球を前に動きながら打つフォアハンドのフットワーク




今回の記事では、相手の浅いショットを前に動きながらフォアハンドで打つためのフットワークを解説していきます。

浅いボールを打ちにいく時でも上半身の動きは、ベースラインより後ろにいながら打つ時とあまり大きな違いはありませんので、浅いボールを上手く打てない場合、問題はフットワークにある事が多いです。

テニスでは、横方向に関しては、余裕があれば、(相手が打ってこれる範囲の)中央付近に立って待つのが基本ですが、縦方向は、コートよりも後ろの位置に立って相手のショットを待つのが基本で、しかもコートは縦長なので、左右に振られるより、浅い球を打たれた時の方が走らなくてはいけない距離が長くなりやすいです。

そのため、浅いボールでは、体を速く移動させながら打つ事が多くなります。ですので、「体を止めてから打とう」としてしまうと、体が止まり切れず、上半身がブレた状態のまま打つ事が多くなります。

安定性を高めるめにはむしろ、足でブレーキをかけないで安定して打てるステップを習得する必要があります。(この事について詳しくは「足を止める意識がミスを増やす」の記事をご覧ください。)

今回紹介する3つのステップを習得するれば、前に動きながら安定してショットを打てるようになります。


これらのステップに共通するポイントは、足を伸ばす事をキッカケにして自然と上半身が回転し、スイングが始まるようになっている事です。




スキップステップ

今回紹介するフットワーク3種類の中で最も使用されることが多いのが、「スキップステップ(フロントフットホップとも言われます。)」です。

「ノバク・ジョコビッチ選手のスキップステップ フォアハンド」(3:10:30~)
オーストラリアンオープン公式チャンネル 2016年 男子シングルス決勝 ノバク・ジョコビッチ対アンディ・マレー戦より
*埋め込み設定により動画の開始時間と終了時間を設定し、動画の一部のみを見れるようにしているため、「もう一回見る」のボタンを押すと、設定した開始位置からではなく、最初から動画が始まってしまいます。設定した箇所を繰り返し見る時は、再生バーで開始時間をクリックする、パソコンの「←」ボタンを使って5秒巻き戻す、このページ自体を再読み込みするといった方法をご利用ください。



打つ時に左足でスキップ(左足で跳んで、左足で着地)するステップです。

主にサイドステップクロスオーバーステップからつなげて使います。これらのステップをしている最中には、上半身が自然に回転し出す事はありません。(だからこそ、体を捻ったまま安定して移動できるとも言えます。)

ですが、スキップスステップを使うと、左足を伸ばす時に自然と体が回転し出します。

なお、プロのスキップステップを見ると、ほとんどの場合、打ち終わった後に右足が左の方に動いていき、両足がクロスしますが、これは特に意識しなくても自然となるものですので、意識してやろうとする必要はありません。

 

 


 

ランニング移行ステップ

主にランニングステップからつなげて使うのが「ランニング移行ステップ」です。(広く浸透している用語がないようでしたので、当サイト独自の名前を付けました。)

「ロジャー・フェデラー選手のランニング移行ステップ」(4:27:45~)
ウィンブルドン公式チャンネル 2008年 男子シングルス決勝 ロジャー・フェデラー対ラファエル・ナダル戦より

 

一見ただ走り抜けながら打っているだけのように見えますが、「ランニング移行ステップ」では、体を一度捻り、右足を伸ばした後に打てるようにタイミングを合わせています。

右足を伸ばし始める前に、体を一度捻ることにより、右足を伸ばすと上半身が自然と回転する(捻り戻される)ようにしています。

ランニングステップをしている最中は、あまり体を捻ることができませんので、打点に入る少し前から徐々に体を捻るようにします。




逆スキップステップ

主に右斜め前に動きなら打つ時に使用されるのが「逆スキップステップ」です。(こちらも広く浸透している用語がないようでしたので、当サイト独自の名前を付けました。)

「ロジャー・フェデラー選手の逆スキップステップ フォアハンド」(1:37:17~)
オーストラリアンオープン公式チャンネル 2016年 準決勝 ロジャー・フェデラー対ノバク・ジョコビッチ戦より



スキップステップとは逆の足、右足でスキップしながら打ちます。スキップで右足を伸ばす時に上半身が回ります。

やっていることは「ランニング移行ステップ」とほぼ同じですが、このように右足でスキップする事により、打った後、左斜め前に詰めていく動きにスムーズに移ることができます。




なお、3種類のステップ全て、あまり高くジャンプしないで打つ事の方が多いですが、高くジャンプして高い打点で打てるようにする事も可能です。

また、これらのステップを使えるのは、ある程度余裕がある状況です。もう少し余裕がない状況では、ランニングステップのまま打つ「ランニングショット」を使う事になります。



次からの3つの記事では、今回紹介した3種類のステップを実際にプロが使っている動画を紹介していきます。




今回の重要ポイント

○浅い球を打つ事が苦手な場合、適切なステップを使えていない可能性が高い。

○「スキップステップ」、「ランニング移行ステップ」、「逆スキップステップ」を使えば、前に動きながらでも安定したショットが打てる。

○これらのステップでは、足を伸ばす事をキッカケにして自然と上半身が回転し始める。

○スキップステップは、サイドステップ、クロスオーバーステップからつなげて使う。左足でスキップする。

○ランニング移行ステップでは、ランニングステップからつなげて使う。体を一度捻ることにより、右足を伸ばすと上半身が自然と回転するようにしている。打点に入る少し前から徐々に体を捻るようにする。

○逆スキップステップは、右斜め前に動きながら使う。右足でスキップする。左斜め前に詰めていく動きにスムーズに移る事が可能。

○これらのステップは、高くジャンプして打点を稼ぐことも可能。