ショットの安定性を上げる・ミスを減らす方法




各ショットの安定して打てるフォームについては、それぞれのショットの解説の中で行っていきますので、ここでは、ショット全般に共通する安定性の上げ方・ミスの減らし方を解説していきます。



ミスをしくにいコースを狙う

安定性を上げるためには、コースの選択も重要になってきます。

ミスを減らすために最も重要なポイントは、厳しい所を狙いすぎない事です。ネットすれすれの低い所や、ライン際ギリギリを狙っていると当然ミスが増えます。

特にチャンスボールが来た時など、一発で決めないともったいないと考えて、きわどいコースを狙い、ミスが増えてしまう方も多いと思います。しかし、1発で決まらない事よりもこちらが凡ミスしてしまう方がはるかにもったいないです。

相手がボールに触わっても、触れなくても、こちらにボールが帰ってこなければ、得点としては同じことですので、ノータッチエースを狙う必要はありません

また、相手がギリギリ返球できたとしても、最初よりも甘いチャンスボールが来たとすれば、それでも状況的にはプラスになります。さらに言えば、相手から良いショットが返ってきて、こちらが不利になったとしても、まだ得点のチャンスは残っているので、その前にこちらが凡ミスするよりは、良い状況です。

一番避けたいのは、こちらからの凡ミスです。これは、よく考えてみれば当然のことですが、このことをしっかり意識できていない方も多いのではないでしょうか。

リスクとリターンを良く見極め、攻めたい時でも、こちらのミスが少なくて済む範囲で攻めるのが基本です。(具体的にどうすればいいか細かく解説すると長くなるので、それについては、別記事で紹介予定です。)

トッププロでも意外にラインのかなり内側を狙ってショットを打つ事が多いです。ぜひ一度、どの程度内側にショットが着地しているのかを注意しながらプロの試合を見てみてください。



その他にコースの選択においてミスを減らすポイントが3つあります。

1.クロスを多めに狙う:クロスの方がストレートより距離が長い上に、ネットが低くなっている中央付近を通せるため、クロスの方がミスが少なくて済みます。ですので、クロスを多めに狙うのが基本です。

2.ライン際以外にウィナーを取れるコースを狙う:ライン際より簡単に得点できる場所があれば、そこを優先して狙う方がミスを減らせます。特にダブルスでは、ライン際に打たなくてもウィナーを狙える場合も多いです。一番簡単な例は、ダブルスで相手2人の間が空いている時です。こういう場面では、相手の中間を狙えばサイドアウトのリスクを取る事なくウィナーを狙っていけます。

3.高い軌道のボールを打つなら、その分浅めの場所を狙う:高い軌道のショットを打とうとすれば、ネットにかけるリスクが減りますが、低い軌道の時と同じ深さを狙ってしまうと、アウトのリスクも上がります。これは、深さだけを見れば同じ距離でも、高いショットの方が軌道の曲線が長くなるため、よりコントロールが難しくなるためです。アウトを避けるには、その分浅めを狙う必要があります。

高い軌道でもラインぎりぎりを狙えるのが理想のような気がしてしまうのですが、それでミスをしないほどのコントロールが仮にあるなら、最初からフラット気味の直線的なショットでラインギリギリに打って、ウィーナーを狙らえば良い訳で、それは、現実的ではありません。


トップスピンをかける

現代テニスのグラウンドストロークでは、つなぎのショットは、強いトップスピンをかけるのが基本となります。トップスピンには、ボールの軌道を縦方向に曲げる効果があるので、安定性を上げるのに非常に有効です。順当に上のレベルを目指していくなら、威力のあるトップスピンの習得はほぼ必須と言えます。

ただ、強いトップスピンをかけた場合、入らないからっといってショットのスピードを落としてしまうと、ミスをしないためにかけている回転の量まで減ってしまううえに、威力の無いトップスピンは相手のチャンスボールになりやすいので、基本的には、スイングスピードを下げて入れにいこうとしてはいけません

ラケットスピードを落とし、打球のスピードを下げて安定性を高めようとするのではなく、ラケットスピードは速いまま、回転量を増やしていく事が理想になります。

ただし、全力で打った球をコントロールするというのは、難しいですから、初心者の内からこうする必要はありません。まずは、ゆっくりしたスピードで安定してトップスピンを打てるようになってから、徐々にスイングスピードを上げても安定できるように練習してみてください。

 

上半身がブレないようにする

上半身のブレは、ショットの安定性を下げる主な原因の一つです。

ブレるという事は、体が予測できない不規則な動きをすることです。フォワードスイングが始まった時点で、スイングの軌道は、もう決まっており、基本的にラケットの軌道を途中で変える事はできません。フォワードスイングが始まってからラケットにボールが当たるまでには、時間があるので、テニス選手は相手のショットの軌道と自分の体の動きを予め予想してスイング軌道を決めています。

上半身がブレると、この予想がズレてしまうのでミスが増える事になります。

上半身がブレないために最も重要なポイントが、「走らされた時に、無理に止まって打とうとしない」ことです。走らされたときは、体を止めてからボールを打つのではなく、ボールを打ってから体を止める必要があります。

これについての更に詳しい解説は「止まってから打つ意識がミスを増やす」に書いてあります。







その他の安定性を上げるポイント

その他のミスを減らすためのポイントをいくつかご紹介します。

左手をしっかり使う:左手も相当な重量がありますので、毎回バラバラの位置にあったのでは、スイングに悪影響が出ます。体のバランスを保つためにも左手をきちんと使う必要があります。

力まない:力んでしまうとやはり安定性が落ちますので、必要以上に力を入れないようにすべきです。ただ、力むのを止めようと意識してもかえって力んでしまう事もあり、これは中々難しい問題です。力みの改善方法については、別記事で詳しく解説予定です。

走らされている時は肩から先だけで打つ:走らされている時に、足の力や体のひねり戻しを使ってショットを打とうとすると、体のバランスが崩れてしまい上手く打つことができません。走らされたときはいわゆる「手打ち」に近い打ち方をすると考えてください。

フットワークを鍛える:ボールにより早く追いつく事で、体勢を崩さず打つ事ができますので、フットワークの向上も安定性を増すために役立ちます。

体幹を鍛える:本気で上のレベルを目指していくなら、やはりフィジカルトレーニングも必要になってきます。体幹を鍛える事により体がブレにくくなります。

ボレーはより前で取る:ボレーをする場合、前の位置で取るほどネットからの距離が近くなるのはもちろん、高い打点で打つことができる場合が多いので、ミスを減らす事ができます。(しかし、体は動かさず、手だけを前に出して打点を前にしようとすると、逆に安定性が下がってしまいます。手だけでなく、体全体が前に行って打つ必要があります。)


それから、当然の事ですが、練習量を増やす事もミスを減らすためには重要です。練習によりショットのコントロールや相手のショットの軌道を予測する能力等が上がり、安定性を上げる事ができます。



今回の重要ポイント

○ミスをしにくいコースを狙う。

○厳しい所を狙いすぎないようにし、凡ミスを避ける。ノータッチエースを狙う必要はない。ミスが少なくて済む範囲で攻める。

○コースの選択で重要なのは、1.クロスを多めに狙う 2.ラインでなくてもウィナーを狙えるコースを優先する 3.高い軌道のショットほど浅めを狙う の3点。

○グラウンドストロークのつなぎのショットは、強いトップスピンをかけるのが基本。

○トップスピンでは、スイングスピードを下げて入れにいこうとするのではなく、ラケットスピードは速いまま、回転量を増やすようにする。

○上半身がブレると体の動きが予測できず、ミスにつながる。上半身がブレないようにするためには、「走らされた時に、無理に止まって打とうとしない」が重要。

○その他にミスを減らすためポイントとして、「左手をしっかり使う」、「力まない」、「走らされている時は肩から先だけで打つ」、「フットワークを鍛える」、「体幹を鍛える」、「練習量を増やす」、「ボレーはより前で取る」などが挙げられます。