サーブ基礎 腕の振り方 上半身の使い方 




この記事では、サーブにおける上半身の使い方、腕の振り方について解説していきます。主に、ボールに回転をかけない、フラットな打ち方について解説していきますが、回転をかける場合でも共通することが多いです。


サーブは、最もスピードを出すのが可能なショットであり、上級者であれば、基本的にサーバーの方がかなり有利になります。しかし、サービスエリアがコート全体よりも小さく、サーブは、ラリー中よりも浅い所にバウンドさせる必要があるため、サーブがある程度強くないと逆にサーバーの方が不利になっていまいます。

シングルスでは全体の半分、ダブルスでは4分の1のポイントが自分のサーブから始まる訳ですから、サーブ強化はテニスで強くなるために必須です。

しかし、素人レベルでは、サーバーの時の方がゲームを取れないという方も非常に多いです。

サーブは、テニスの中でももっとも複雑な運動連鎖をする部分で、しっかりと体全体を効率よく使ったサーブを習得するには、相当な時間がかかりますが、素人であっても練習を重ねれば、全身を上手く使ったサーブを習得し、威力のあるサーブを打つ事は可能です。

しかし、いきなり全身を使ったサーブを習得することはできませんので、まずは、上半身の動かし方のみに集中して練習していく必要があります。



「フェデラー選手の全身の力を使ったフラットサーブ」(6:38:06~6:38:39)
オーストラリアンオープン公式チャンネル 2015年 ロジャー・フェデラー 対 アンドレアス・セッピ 戦より
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握り方

「サーブ、スマッシュの打ち方 基礎」解説動画




握り方は、コンチネンタルが基本です。慣れてないと打ちにくく感じるはずですが、そこで、グリップを厚くしてしまうのではなく、薄いグリップを維持して練習してみてください。

厚いグリップで握ってしまうと、しっかりと回転のかかったスライスサーブやスピンサーブを打つことができなくなりますし、フラットサーブを速くしていくとフォルトしやすくなります。

薄いグリップにすれば、フラットサーブを打っても自然とトップスピンが少しかかるため、速いサーブでもフォルトしにくくなります。

あまり本格的にやられていない方であれば、厚いグリップでもそれほど問題ないのですが、上のレベルを目指していくには、薄いグリップで握る事が必須になります。

厚いグリップに慣れてしまうと、後から薄いグリップに修正するの大変になりますので、最初の内から薄いグリップで慣れておくことをオススメします。




腕の振りで手を回転させる

サーブやスマッシュで最終的に速くしたいのは、このような手の回転速度になります。

これは「回内(動作)」や「プロネーション」と言われる動きです。(正確に言うと解剖学で言う、肩の「内旋」という動きも含まれています。ただ、意識の上ではどちらも「手の回転」でしかないので、特に気にする必要はありません。)

「意識して回内の筋肉を使うように」と言われることが多いですが、それをやってしまうとスイング速度、安定性共に大きく下がることになります。そうではなくて、「手の位置」を動かすことにより、自然と手が回転するようにしてやる必要があります。

こう言うと難しそうに聞こえるかもしれませんが、やる事自体は単純です。

例えばこのように肩を回すと、途中で自然と手が素早く回転するはずです。これを使ってボールを打つだけです。


なお、テニス通では、このような現象を「見かけ上の回内動作」と呼んでいます。

「見かけ上の回内動作(造語)」とは、回内の筋肉を意識的に使ってないにも関わらず、手の位置を変えることによって、意識して回内した時と同じように「勝手に」手が回転することを意味しています。

テニスで一般的に「回内動作をするように」と言われている動きのほとんどは、この「見かけ上の回内動作」を使う必要があります。


腕に余計な力が入っていると、手の回転が起きなくなってしまいますので注意が必要です。



サーブ、スマッシュでは、手首は意識的には使いません。(フラットの場合だけでなく、回転をかける場合も使いません。)
手の平側に手首を曲げる動き(掌屈)も使うことはありません。






上半身の回転から腕の振り方

次に上半身の回転から腕の振り方までの動きについて解説していきます。

サーブやスマッシュの上半身の使い方は、野球のボールを投げる動き、バレーのスパイク、ソフトテニスやバドミントンのスマッシュなどと似ています。これらの内の一つでも経験がある方でしたら比較的簡単に上半身の動きを習得できますが、これらの経験が無い方は、習得までにかなり時間がかかるかと思います。

では、動きを具体的に解説していきます。まずは、より分かりやすいようにラケットを持たない状態で説明します。
まず、体を横向きに構えます。右ヒジは両肩を結んだラインの延長線上あたりの高い位置にセットし、ヒジは曲げておきます。

上半身を前方向に回転させます。

ここで、右胸が張られ、右手が後ろに取り残される形になります。

手よりもヒジが先に前に出てていくようにします。ここでヒジが自然に伸びていきます。

ヒジがほぼ伸びきった後、肩を中心に腕が回ります。この時、見かけ上の回内動作が起き、手が回転し、右の方を向いていきます。



野球などの経験がなく、このような動きが全くできない場合は、まずボールを投げる練習も行うのがオススメです。

いきなりサーブやスマッシュの練習をすると、落ちてくるボールにタイミングを合わせたり、インパクト時のラケット面の向きを気にする必要などがあるため、かなり難易度が高いです。

ボールを投げるのであれば、それらを気にせず、上半身の運動連鎖を習得する事に集中できます。
ある程度動きがスムーズにできるようになるまでボール投げを繰り返し行ってみてください。

プロ野球選手ほど遠くまでボールを飛ばせるようになる必要はありません。サーブと同じなのは、動きの一部のみだけで、そこがスムーズにできるようになってしまえば、もうボール投げはしなくて大丈夫です。

限界まで飛ばそうとすると、下半身の使い方など、その他の要素までマスターする必要が出てきますが、そこはテニスとは関係がありませんので、意味のない練習になってしまいます。


ラケットを持って実際に打つ時の注意点

それでは、ラケットを持ってボールを打っていきます。基本的な動きは、さきほどと同じですが、実際にボールを打つとなると動きが崩れやすく、特に次の3点に注意が必要です。


「見かけ上の回内動作」でボールを打つ  

すでに述べたように、「見かけ上の回内動作」でボールを打つ必要があります。

実際にボールを打つとなると、手の回転がボールのコントロールに直接関係していくるため、中々これが難しいかと思います。

これについては、ある程度球数を打って慣れていくしかありませんので、地道に練習を重ねるようにしてください。


体の回転を使う       

ボールを打つ時でもしっかりと体の回転が使う必要があります。

初心者の方は、まずは、狙えるコースの中間点に対して上半身が真横を向くくらいを目安に構えるようにしてください。
上級者はもっと後ろを向いて構えるのですが、いきなりそれは難しいので、最初は、真横を向くのが目標になります。
(アドサイド、デュースサイド、スマッシュ真ん中)

ボールに集中していると一度横を向いてもそこから徐々に前を向いてしまいやすいですが、それでは体の回転のエネルギーを活かせなくなります。ギリギリまで横向きを保っておいて、そこから体を一気に回転させる必要があります。

体は回すほど良い訳では無く、打ち終わった後に体がボールを打った方向を向くくらいが適正な体の向きの目安になります。
体が左の方を向きすぎないようにご注意ください。



簡単な打ち方に頼らない  
さきほどの2点とも関係してきますが、簡単な打ち方に頼ってしまわないように注意が必要です。

正しい打ち方は、習得までに時間がかかるため、簡単な他の打ち方を使いたくなるかと思います。
たしかに最初の内は、そちらの方がコントロールがしやすく、強いのですが、当然そのような打ち方では上のレベルは目指せなくなってしまいます。


ここで、よくやってしまいがちな悪い打ち方の例を2つ紹介します。

①最初の例は、ヒジを伸ばす動きや手首を手の平側に曲げる動きを使った打ち方です。このような打ち方は、「羽子板サーブ」と呼ばれたりもします。ボールのコントロールが直感的に分かりやすく非常に簡単な打ち方ですが、正しいやり方とは、根本的に打ち方が違うため、これは使わないようにしてください。

②もう一つの例は、見かけ上の回内動作は使えているものの、体の回転から腕の振りへの運動連鎖がしっかりできていない打ち方です。

最初の頃は、このようになってしまってもある程度仕方ないですが、なるべく早くしっかりとした打ち方をできるようにしていきたい所です。そのためには、結果よりもフォームを重視していく必要があります。まずは、入らなくても良いので、きちんとしたフォームを意識して練習していくようにしてください。



インパクト時の形

次にインパクト時の体の形について解説していきます。


基本的には打点は高いほどミスをしにくくなり、有利になりますので、できるだけ高めの打点で打てるようにしていきたいです。

ただし、限界まで打点を高くしようとするとスイングスピードや安定性が下がったり、体に負担がかかったりしてしまいますので、限界まで高くという事でもありません。

では、具体的にどうすれば良いのか、そのポイントを挙げていきます。

ヒジは、伸びているようにする。


意識的に手首を小指側に曲げない。
手首を意識的に小指側に曲げ、腕とラケットとの間を180度に近づけた方が打点は高くできますが、それでは強いサーブを打てなくなってしまいますので、やるべきではありません。(スイングの勢いで、自然に小指側に手首が動くのは、問題ありません。)

腕とラケットとの間の角度はこのくらいが適正になります。

ここの角度が狭すぎる場合は、手首の問題ではなく、握り方に問題がある可能性が高いので、握り方を直していく必要があります。
(これについて詳しくは「コンチネンタルグリップの握り方」の記事をご参照ください)


腕は限界まで上げない。
腕を高くしすぎると肩に負担がかかるうえにスイングスピードも落ちてしまうため、腕は限界までは上げません。上半身と腕との間はこの程度空いている必要があります。

打点を最も高くするためには、右肩の真上に打点を取った方が良いのですが、それには、上半身を左に傾ける必要があります。
そうすると上半身と腕との間を空けたまま、右肩の上のあたりで打つことが可能になります。

しかし、地面に足を着けたままで大きく左に傾こうとすると、体のバランスが崩れやすいです。ですので、意識して大きく体を傾けてようとするのは、ジャンプして打てるようになってからにしてください。(上級者になると、サーブ、スマッシュ共にジャンプして打つのが基本になります。)


打点は、右肩より前 
前後方向においても肩の真上の方が打点は高いのですが、斜め下方向にボール打つ都合上、打点は右肩よりも前になります。どれくらい打点を前に取るかは、ボールを打ち出したい角度などによって変わってきます。



今回の重要ポイント

○グリップはコンチネンタルで握るのが基本。

○見かけ上の回内動作を使う。(「手の位置」を動かすことにより、自然と手が回転するようにする。)

○手首は意識的には使わない。

○上半身の使い方は、投球動作と似ている。まずは、ボールを投げる練習も行うのがオススメ。

○実際にボールを打つ際は、「1。見かけ上の回内動作でボールを打つ」、「2。体の回転を使う」、「3。簡単な打ち方に頼らない」の3点に注意する。

○インパクト時には、「1.ヒジは、伸びているようにする」、「2.意識的に手首を小指側に曲げない」、「3.腕は限界まで上げない」、「4.打点は、右肩より前」の4点がポイント。